クラヴィコードからフォルテ・ピアノへ

 クラヴィコードをこよなく愛したC.P.E.バッハ、クラヴィコードを馬車に積んで旅をしていたW.A.モーツァルト、屋根裏部屋でクラヴィコードと向き合い、至福の時を過ごしていたF.J.ハイドンが、プライベートな楽器クラヴィコードを離れて、パブリックに向けて、当時発展途上にあったフォルテ・ピアノをどのように演奏していたかにとても興味を持ち、「クラヴィコードからフォルテ・ピアノへ」の企画に繋がった。なお、使用するフォルテ・ピアノは、現在、ハンブルグに所蔵されている1726年クリストフォリが製作したフォルテ・ピアノの「豊かな音響」を再現する試みとして、2009年にキース・ヒルが完成させた楽器(作品420)である。
 今回は、楽器のお披露目を兼ねて、私にとって初めてのフォルテ・ピアノ演奏会となる。
宮本とも子

宮本とも子

日時

 2020年5月30日(土)
 15:00開演(14:30開場)

会場

 銀座 王子ホール
 全席指定|3,000円(当日4,000円)


チケット受付

 王子ホールチケットセンター
 電話受付:03-3567-9990
 オンライン:https://www.ojihall.jp/

お問合せ

 シン・ムジカ(蓑島音楽事務所)
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 MAIL:shinmusica@mbr.nifty.com


English ↓チラシもご覧ください。
チラシ表(PDFファイル 1.23MB)


チラシ裏(PDFファイル 1.89MB)

<演奏曲>

 ◆ C.P.E.バッハ(1714-1788)|ソナタ ハ長調   Carl Philipp Emanuel Bach : Sonate in C Wq 65-41/H178 [Berlin 1763]
 ◇ C.P.E.バッハ|クラヴィコードに別れを告げるロンド   Carl Philipp Emanuel Bach : Rondo poco andante, e sostenuto Wq 66
 ◇ W.A.モーツァルト(1756-1791)|幻想曲ニ短調   Wolfgang Amadeus Mozart : Fantasy d moll KV397(385a) [1782]
 ◆ W.A.モーツァルト|ソナタ イ短調   Wolfgang Amadeus Mozart : Sonate in a moll KV 310 [Paris 1778]
 ◆ F.J.ハイドン(1732-1809)|ソナタ ヘ長調   Franz Joseph Haydn : Sonate in F Hoboken XVI:23
 ♥ F .J.ハイドン|ソナタ ヘ短調(変奏曲)   Franz Joseph Haydn : Sonate in f moll (Variationen) Hoboken XVII:6 [1793]
 ◆ F.J.ハイドン|ソナタ ハ長調   Franz Joseph Haydn : Sonate in C dur Hoboken XVI:48 [1789]
 ・・・・・・  フォルテピアノ  クラヴィコード  フォルテピアノ(一部分をクラヴィコードで)  ・・・・・・
※曲目は予告なく変更になることがございます。
Keeping the Spirit of Bartolomeo Cristofori alive.   by Keith Hill
from Keihh Hill (2019 12)

When one hears recordings made on the original pianos made by Bartolomeo Cristofori, the sound is thin, wirey, extremely noisey due to all the clacking sounds made by the action, while underneath all the distracting and disappointing sounds on the recording somehow is a firm, sweet, singing tone, all of which is buried by all the surface unpleasantness. When I first had the opportunity to study one of Cristofori's pianos, the 1726 piano now in Leipzig, I was overwhelmed with admiration at the absolute genius of this man's understanding of the art of acoustic enhancement, of his understanding of the subtleties and complexities involved needed to make a successful piano action, and of his understanding and command of the engineering required to build a successful piano. All that understanding of which becomes totally obscured by the various decidedly underwhelming recordings recently made on the actual pianos that he made.

So, I made it my goal to resurrect his reputation, so to speak, by correcting all the mistakes made by restorers, whose main job it is to protect the original pianos from breaking apart under the strain of what I consider to be the proper stringing of Cristofori's pianos. In a sense, my aim is to restore Cristofori's unqualified reputation by building copies of his pianos using his scaling, his methods, and his designs yet at the same time applying a few piano making improvements to my instruments that were invented after Cristofori died...specifically, to remove every cause of noise making aspects in Cristofori's design of his actions so that the sound that we are hearing today is the sound that I feel he was after. I hope and trust that you, the listener, will appreciate Cristofori's genius when you hear my understanding and realization of his spirit and intentions.
バルトロメオ・クリストフォリの神髄の再現
バルトロメオ・クリストフォリが製作したオリジナルのピアノのレコーディング(録音)を聴くと、その音は piano action のために、か細く、金属的で、非常に騒々しい。しかし、これら録音の表面にでてくる不快な雑音の下には安定した、まろやかで歌うような音色が隠されている。初めてクリストフォリ作のピアノ(1726年作ライプツィヒで保管)に触れたとき、私はこの天才が見せた音響増幅の芸術的理解、piano action を作るため必要とされる繊細さかつ複雑さへの理解、ピアノを製作するために駆使すべき技術の理解の素晴らしさにただただ圧倒された。しかし残念ながら最近レコーディングされたクリストフォリのピアノ演奏からは上述した彼の本質を示す音は完全に曖昧になってしまって聞こえない。

そこで私はオリジナル・ピアノが弦の張りから生ずる負担によりピアノがバラバラにならないようにするという間違った修復家の手法を補正し、正しい弦の張りかたで、クリストフォリの音を蘇らせ、彼の評判を復活させることにした。言い換えれば、クリストフォリの間違った評判を正すために、彼のピアノの複製を彼の縮尺、手法、デザインを使いつつ、彼の死後に考案された修復の改良点を加えながらピアノを復元した。特にクリストフォリの action のデザインによって発生するすべての雑音を取り除くことによって、本日、聴衆が聴く音、それこそがクリストフォリが求め続けていた音だと思っている。この再現されたクリストォリの真髄を聴くことによって、聴衆が彼の真価を認めること(感じること)が出来ることを期待している。

キース・ヒル
2019年12月
「宮本とも子は、まことに素晴らしいこの道のスペシャリスト。
 クラヴィコードから美しく、しかも無限の表情変化を秘めた音色を引き出し、聴く者を魅了してしまう。」
(濱田滋郎氏/レコード芸術2010年5月号)

「宮本とも子は聴衆に大きな感銘を与えた。それこそが、彼女が現代最高のスペシャリストのひとりである証であろう。」
(1995年イタリア・マニアーノで開催された第2回国際クラヴィコード・シンポジウムの演奏への地元紙評)
宮本とも子 / フォルテピアノ・クラヴィコード
Tomoko Akatsu Miyamoto / Fortepiano, Clavichord
 東京都出身。幼少時より田園調布雙葉学園に学ぶ。高校一年の時に父のニューヨーク転勤に伴い渡米。フォート・リー・ハイスクール卒業。ジュリアード・プレカレッジ、聖心女子大学を経て、ボストンのニューイングランド音楽院学士課程、修士課程を優等で卒業。後にオランダ政府給費生として、スウェーリンク・アムステルダム音楽院よりオルガンのソリスト・ディプロマを得る。
 1976年より、クラヴィコードを手元楽器として、歴史的建造法に基づくオルガンで演奏活動、教育活動を行う。1980年以来、米国ミシガン州に楽器製作工房を構える「現代の名工」キース・ヒルとのコラボレーションで日本国内にクラヴィコードを広く紹介して来た。
 1995年、イタリア・マニア―ノで行われた第2回国際クラヴィコード・シンポジウムでのクラヴィコード演奏が地元紙で高く評価され、クラヴィコードが秘める音楽領域を今後、より多くの音楽家と分かち合う必要性と使命を重く受け止める。以来、イタリア、ドイツ、米国そして国内でクラヴィコードのマスタークラスなども行う。
 2010年、浜松市楽器博物館所蔵P.リンドホルムクラヴィコード(1788年製作)で「クラヴィコードの世界~秘められた音楽領域を探る~」がコレクションシリーズ23としてリリースされ、オランダで発行されたクラヴィコード・インターナショナルの季刊誌で「歴史的クラヴィコードと良く調和する輝かしいカリスマ性のある演奏を見事にとらえた録音」と評される。同CDは国内ではレコード芸術誌の特選盤となる。近年オルガンのCDでは、J.S.バッハの作品集、「バッハの森からの贈り物~オルゲル・ビュッフライン全曲~」(2017年)「Soli Deo Gloria~クラヴィア・ユーブング第3巻全曲~」(2018年)を取り上げ、いずれもレコード芸術誌特選盤に選ばれた。