まるごと髙田三郎
髙田三郎作品のみの演奏会。「橋上の人(編曲版委嘱初演)」「心の四季」「マリアの歌」「遙かな歩み」「来なさい重荷を負うもの」「ちいさなひとびとの」「平和の祈り」というプログラム。実際の演奏時間は80分位だと思うけれど、精神的には倍以上に感じると思う。私だったら弛緩なく歌いきる自信はない。私にとって髙田作品は強い音楽という認識を持ち続けてきた。それが正等であるとは思っていなくて(当然に様々な側面があるわけで)、自分の経験による独断と偏見だと思っている。畏怖の念と言ってよいものを持ち続けていて、これまでは歌うことはもちろん、聴くことも、覚悟を要した。それは前向きとは言い難い感情であって、誤解を恐れずに言えば、演奏に接するのはできれば避けたいという気持ちに近いものだっただろう。しかし、この演奏会では驚くほど素直に(そして客観的に)その作品と演奏に身を預けることができた。それは演奏自体がそうさせたのは間違いないけれど、私の心に変化があったのだと気付く時間でもあった。演奏者の佇まいも本当に美しかった。舞台で生まれていたのは髙田三郎の音楽であることは疑いようのないことだけれど、中央で歌っておられた髙田留奈子先生の音楽と人を感じたことも私の変化を促したのかもしれない。留奈子先生は今年白寿をむかえられた。「橋上の人」は「イザヤの預言」と並んで、髙田作品の最高傑作と自分勝手に信じているが、女声三部合唱となったその作品の姿はとても新鮮で、新たな(真の)魅力を強烈に訴えかけるものであった。50年前の作品とは思えないほどの新しさ。


沼津フラウェンコール15周年記念演奏会
≪まるごと髙田三郎≫
平成30年12月15日(土) 14:00開演
沼津市民文化センター小ホール
指揮:芹澤卓弥
ピアノ:小野鈴代
ゲスト:渡邊史(ソプラノ)/髙田江里(ピアノ)*
女声合唱組曲「心の四季」(吉野弘 詩)
女声合唱組曲「橋上の人」(鮎川信夫 詩/須賀敬一 編曲) ※編曲委嘱初演
===休憩===
啄木短歌集(石川啄木 歌)*
女声合唱組曲「マリアの歌」(村上博子 詩)
女声合唱組曲「遙かな歩み」(村上博子 詩)
「女声合唱のための典礼聖歌」(髙田三郎 詞)より
来なさい重荷を負うもの
ちいさなひとびとの
平和の祈り
★アンコール
くちなし(高野喜久雄 詩)