東京カンマーフィルハーモニー 第20回定期演奏会
松井慶太指揮&東京カンマーフィルの20回目となる定期演奏会。全国各地でイベントの中止・延期の相次ぐなか、開催するか否か直前まで悩み考え抜かれたことと推察します。会場に到着すると、チケットもぎりは行わず提示のみ、プログラムはセルフで、チラシ挟み込みもなし、消毒液の設置はもちろんのこと開場前に全客席をアルコールで拭き取ってくださるなど、感染症予防に最善を考慮した配慮と努力がすばらしく、安心して鑑賞することができました。プログラムはシューマンのピアノ協奏曲と交響曲第3番。客席の空気感がとても良くて、演奏者が入場すると心地よい緊張感。指揮者とピアニストが登壇するとさらに客席の集中の密度が高まります。演奏が始まるとすぐに、シューマンの甘美な旋律にもたれかかりそうになるのですが、指揮とピアノの直截ともいえる音の運びに不要な情緒は断ち切られ、それが繰り返されるたびに聴き手(私)のテンションは高められ、演奏に引きずり込まれていく。そっけないようで、実は感情の充分に込められた密度の濃い音楽が間断なく波のように押し寄せてくるので心をつかまれてしまう。ピアノの海瀬京子さんは、確信的な構成のとらえ方が見事で安定感があり、素朴な質感と透明度のある音、明快な表現に感銘を受けました。重厚でもあって、アンコールのブラームスも感興豊か。オーケストラはもう少し表現が欲しいと感じた部分はあるけれど、立体的な音楽と、知性と品格を持ち合わせた佇まいが魅力的でした。1階前方(4列目)で聴いたのですが、直接音と残響のバランスが思いのほか良くて大満足。意外にめずらしい音響のホールかも。


東京カンマーフィルハーモニー
第20回定期演奏会
指揮:松井慶太
ピアノ:海瀬京子
シューマン:ピアノ協奏曲 イ短調 op.54
ソリストアンコール:ブラームス「6つの小品op.118-2」
シューマン:交響曲第3番 変ホ長調 op.97「ライン」
アンコール:シューマン「交響曲第3番」第3楽章
2020年3月1日(日)14:00開演 ※13:00開場
渋谷区文化総合センター大和田・さくらホール