小家一彦バリトンリサイタル≪I wish you well!≫
楽しみにしていた小家一彦さんのリサイタルへ行ってきました。狛江のエプタザールは初めて赴きましたが、空間は広く美しくて、第一印象で幸せな気持ちになりました。非日常に誘ってくれるコンサートは本当に嬉しい。前半は見事に(私が勝手に思う)小家さんの世界に満たされていて、折り目正しく清潔感があり、誠実な歌唱。そして若々しさもあり、作品の描く情景が生き生きと聴き手に明示される。時折あらわれる静謐さも魅力的。綿密でありながらわずかにほぐれる場面があるのもお人柄かもしれないと思った。音色はもう、抗いがたく豊かで品格があり、すばらしい。宇江明子さんのピアノも楽しみにしていました。音楽への集中が音の密度に表れるようで、油断なく作品の持つ魅力を聴き手に伝えてくれる。
金光威和雄先生の作品「魔のひととき」。原民喜の詩は、ある時期の日本のありようを示しつつ、その内容は普遍性を持って迫ってくる。小家さんがこの作品に向き合ってきた年月、その過程を興味深く想いながら聴かせていただいた。最後に演奏されたマーラーは、小家さんがこれまでの歩みで培った信頼から結実した、ひとつの幸福な成果だと感じました。

小家一彦バリトンリサイタル
I wish you well!
バリトン:小家一彦
ピアノ:宇江明子
室内アンサンブル径(kei)
指揮:小高臣彦
ヤン・ディスマス・ゼレンカ Jan Dismas Zelenka(1679-1745)
◆エレミアの哀歌 LamentatioⅢ ZWV54より
アーサー・サマヴェル Arthur Somervell(1863-1937)
◆A.E.ハウスマンの詩による歌曲集「シュロプシャーの青年」 A Shropshire Lad
金光威和雄(こんこういわお)
◆原民喜の詩による歌曲集「魔のひととき」(委嘱作品)
グスタフ・マーラー Gustav Mahler(1860-1911)
◆亡き子をしのぶ歌 Kindertotenlieder
R.リーン編曲による室内アンサンブル版
2018年10月7日(日)13:30開演
エプタザール