オペラ・ディ・モーダ第11回本公演『椿姫』

写真:オペラ・ディ・モーダ
静岡市を中心に活動している「オペラ・ディ・モーダ」の第11回本公演。映像を効果的に用いた舞台はシンプルながらも見通しよく考えられ、充実した音楽と共に、イタリアオペラの傑作、その魅力を伝える一夜となった。
まずは指揮とオーケストラの一体感が見事で、それにより生み出された音楽が舞台を牽引する。場面転換は明瞭で音楽により情景が導かれる。これは指揮者の手腕と能力によるもの。それに応えたオーケストラの力も特筆に値する。
ヴィオレッタの佐藤愛也は陰影に富んだ音色と表現で、演奏が進むほどに調子が上がっていく。その歌唱の放つ魅力と作品に適した声の色彩感は強い説得力を持ち、辞世の場の熱演は圧倒的。アルフレードの土崎譲は決して感情に流され過ぎない、理知的な表現と抑制の効いた品格ある歌唱で全編を貫いた。その佇まいは心がこもっており印象強い。ジェルモンの小林優は威厳ある堂々とした歌で、終始安定感を保ち、舞台を引き締め、支えた。
全体的には個々の出来の差は散見されたかもしれない。完璧な舞台とはいえないけれど、演奏が進むにつれアンサンブルのバランスは整い、円滑さを増していった。一方では、ホールの特性と合唱の配置のせいか、伝わるべきエネルギーが充分な響きとして不足していると感じる場面があったように思う。
何より嬉しかったのは、演奏者全員から作品への敬意と良い舞台にしようとする意欲が全編を通して感じられたこと、オペラを体感する喜びを余すところなく聴衆に伝えようというひたむきな姿勢が発せられていたことであった。

写真:オペラ・ディ・モーダ
ジュゼッペ・ヴェルディ
オペラ 椿姫
~道を踏み外した女~
全3幕(原語上演/日本語字幕付)
平成27年度グランシップ提携公演事業
ヴィオレッタ 佐藤愛也/アルフレード 土崎 譲
ジェルモン 小林 優/フローラ 藤田貴子
ガストン子爵 杉山雅一/ドゥフォール男爵 杉山貴也/アンニーナ 片平有紀
医師グランヴィル・ジュゼッペ 山内 晃/マルケーゼ 菅野 仁
モーダ・オーケストラ / コーラス
指揮 草川正憲
2016年3月4日(金)19:00開演
グランシップ 中ホール・大地
■主催:Opera di moda オペラ・ディ・モーダ
■共催:公益財団法人静岡県文化財団
■協力:特定非営利活動法人音楽の架け橋メセナ静岡
■後援:(有)シン・ムジカ